ネパールを取り込んだ中国
- 2008/08/28(木) 08:41:52
講演会のお知らせです。
新刊出版記念
『チベット大虐殺と朝日新聞』
〜朝日新聞はチベット問題をいかに報道したか〜
講師:岩田温(拓殖大学客員研究員・研究会代表)
日時:8月30日(土) 14時開会(13時半開場)
場所:渋谷区神宮前穏田区民会館(神宮前6‐31‐5)
主催:日本保守主義研究会
交通:JR山手線原宿駅より徒歩6分
地下鉄千代田線明治神宮前駅四番出口より徒歩2分
会場分担金:2000円(学生無料)
参加申し込み、お問い合わせは下記へ。当日の直接来場も可。
※当日は会場にて新刊『チベット大虐殺と朝日新聞』(税込1575円)を
特別価格1200円にて販売。
TEL&FAX 03(3204)2535
090(4740)7489(担当:山田)
メール info@wadachi.jp
それでは、本日の記事紹介です。
2008/8/28付 世界日報11面 【オピニオン】より
中印、今世紀半ばに衝突も
ネパール対中接近は重大
岐阜女子大学客員教授 福永正明
インドの影響力低下
北京五輪の開会式が行われた8月8日、ネパールの首都カトマンズの中国大使館前で亡命チベット人たちが抗議行動を行い、1,000人以上が拘束された。さらに、14日の平和的デモ行進での警察による連行者は、1,100人以上とされる。これら2,000人以上の拘束者の多くは、釈放されたようだ。だが2日間で約2万人のネパール在住のチベット人のうち、10人に1人が拘束された恐るべき事態である。
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世法王を中心とするチベット亡命政権は、中国の残虐な支配に反対し、国際社会の支持を受けて平和的行動を続ける。世界各地の亡命チベット人たちも、強く自由と人権を求める。オリンピックを利用して、チベット支配を正当化しようとする中国政府の意図は、冷や水を浴び続けていた。
しかし注目するべきは、5月末の王制廃止後に「連邦民主共和制」に移行したネパールが、中国の強い影響下に入ったことだ。ネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)を中心とするネパール現政権は、中国との連携に一歩突き進んでいる。中国が南アジア地域への勢力拡大に成功したことは、きわめて重大である…
インド亜大陸の北部に位置する最貧内陸国のネパールは、中印間の緩衝地帯として役割を果たしてきた。北は中国(チベット自治区)と接し、ヒマラヤ山脈が中国の南下を阻止するように隔てていた。東西南の方向の国境を平原地帯で囲むインドは、政治・経済関係での優越が続いてきた。
1950年代以降、立憲君主制のなかで、政党や都市住民を中心に民主化運動が繰り返しされていた。武力で封建的王制に挑戦したのがネパール共産党の分派の一つ、マオイストであった。95年、インドに留学経験のあるインテリ青年たちが結成、翌年には銃による革命樹立に決起し人民戦争を宣言した。国王軍との対立は次第に激化、内戦に拡大した。さらに地方ではマオイスト支配地域も生まれ、強い軍をもち人民の支持を集めていた。
01年の王宮虐殺事件を契機に即位したギャネンドラ前国王は、議会停止、選挙延期、非常事態宣言などの専制政治で事態を悪化させ、内戦はさらに激化した。
民主化を求める国際社会に抗して孤立する国王悪政と内戦による政治的混乱は、インドの影響力低下を意味していた。
「包囲網」強める中国
好機と判断した中国は、反マオイストの立場から国王を支援し、資金・軍事援助を唯一続ける国に浮上した。中国は、無関係のマオイストが、毛沢東の名を語るは迷惑だとの立場であった。国王は中国の求めに応じて、インド依存から転じ、亡命チベット人の圧迫も強行した。当時は中国とマオイストの不仲が、国際社会では安心感を与えていた。
06年に内戦が終結、マオイストも含む政党各派の暫定政権は、民主化プロセスを進めた。マオイストが政治の主舞台に登場すると、誠に節操もなく中国は政策を転換した。両国共産党の国際連帯を唱え、マオイストを絶賛し、幹部訪問、内戦復興の巨額の資金援助などを実行した。
4月の制憲議会総選挙でマオイストは大勝、連立政権を主導して王制廃止、共和国への移行、大統領・首相制を進めた。今月15日、マオイストのプスパ・カマル・ダハル(通称プラチャンダ)書記長(53歳)を首相に選出した。
首相就任後の僅か一週間で北京五輪閉会式参加を理由に訪中、胡錦濤国家主席と会談した。
首相就任後の初外遊は訪印が慣例であり、インド離れと対中接近を明確にし、中国との蜜月を決意したと判断できる。
チベット人の反中国活動の抑圧が、ネパールの対中接近を象徴する。07年4月には、カトマンズの亡命政府の代表事務所の閉鎖を命じ、亡命者多数を中国側に引き渡した。今春の騒乱でも多数拘束され、五輪期間中の事件に続く。
中国には南方への勢力拡大、インドへの出口確保を意味する。今後、中国は次々とインフラ整備や資金援助を実行し、安価な中国製品が印製品を駆逐することは明らかだ。既に中国はインドを包囲するように、バングラデシュ、パキスタン、スリランカなどとの関係を強化している。
インドは、長い国境を接するネパールが中国の強い影響下に置かれたことは、安全保障での重大な懸念となる。
リアリスト派の視点から国際情勢が読めない日本の識者には、中印貿易額の拡大は「手を結んだ」証拠と論じる。だが軍事拡大路線を歩む中印両国は、今世紀中葉にも衝突する緊張関係にある。南アジアの混迷は、ネパール問題で一段と深まっている。
The Sekai Nippo Co.,Ltd. 1975- Tokyo,Japan
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